営業ロープレのチェックシート|そのまま使える項目例と、形骸化させない作り方
営業ロープレのチェックシートは、項目を増やすほど機能しなくなります。営業プロセスに沿った項目例と、行動レベルで書く・1回で見る項目を絞るという作り方の原則、運用と見直しのコツを整理しました。

営業ロープレを始めるにあたって評価シートのテンプレートを探すと、それらしい表はいくつも見つかります。ところが、いざダウンロードして使ってみると、項目が自社の商談と噛み合わない。「身だしなみ」「声の大きさ」のような項目を埋めながら、これで営業力が上がるのだろうか、と疑問が湧いてくる。テンプレート探しは、たいていここでつまずきます。
この記事では、営業ロープレのチェックシートの作り方と、そのまま叩き台にできる項目例を紹介します。先に、原則をひとつだけ挙げておきます。
チェックシートは、項目を増やすほど機能しなくなります。
網羅的なシートは一見立派ですが、評価者は全項目を追い切れず、講評は総花的になり、練習する側はどこを直せばいいのか分からなくなります。シートの良し悪しは、項目の数では決まりません。
チェックシートの役割 — 講評の「バラつき」を抑える道具
そもそも、なぜシートが要るのでしょうか。評価者が頭の中で講評すればよさそうなものですが、それをやると3つの問題が起きます。
- 評価者ごとに見る観点が違い、言われることが毎回変わる
- 「もっと熱意を」のような、行動に落とせない指摘が増える
- 講評がその場で消え、成長の記録が残らない
チェックシートの役割は、この3つを防ぐことです。シートは採点用紙である前に、「自社では何が良い商談か」という観点を評価者の間で揃える道具です。だからシートを作る作業は、「良い商談とは何か」に組織として答えを出すことと同じになります。
作り方の3原則
原則1: 営業プロセスに沿って、時系列に並べる
項目を思いつくままに並べず、商談の流れ——事前準備・アプローチ・ヒアリング・プレゼンテーション・クロージング——に沿って配置します。こうすると、講評が「どこのプロセスの話か」で整理され、練習する側も自分の弱いプロセスを特定できます。
原則2: 行動レベルで書く
「ヒアリング力があるか」では、評価者の主観に戻ってしまいます。「聞くべき項目を聞き漏らしていないか」「相手の回答に対して、理由や背景を尋ねる質問ができたか」のように、できた・できないを行動で確認できる書き方にします。印象を書く項目(熱意・雰囲気など)は、極力減らします。
原則3: 1回のロープレで見る項目を絞る
シート全体に70項目あってもかまいませんが、1回のロープレで評価するのは、その日のテーマに関わる数項目に絞ります。「今日はヒアリングの回」と決めて、該当ブロックだけを見る。全項目を毎回チェックしようとすると、評価が浅くなり、シートが嫌われていきます。
チェック項目の例 — 5つのステップ別
叩き台として、営業プロセスの5ステップに沿った項目例を載せます。自社の商材・商談スタイルに合わせて、言葉を差し替えて使ってください。
| ステップ | このステップの狙い | チェック項目の例 |
|---|---|---|
| 事前準備 | 商談を設計してから臨む | 顧客情報を調べ、仮説を持って臨んだか/商談のゴールを設定していたか/想定される反論・抵抗への切り返しを準備していたか/話す事例・実績を用意していたか |
| アプローチ | 商談の土台をつくる | 面談の目的と進め方について冒頭で合意を取れたか/自社・自分の紹介で相手の関心を引けたか/相手が話しやすい空気をつくれたか |
| ヒアリング | ニーズの全容をつかむ | 聞くべき項目を聞き漏らしていないか/回答に対して、理由や背景を尋ねる質問ができたか/表面的な要望の奥にある課題・背景に踏み込めたか/相手の話を遮らず、傾聴の姿勢を保てたか |
| プレゼンテーション | 課題と提案をつなぐ | 聞き取った課題に対応した提案になっていたか/相手に合わせた事例・根拠を示せたか/一方的な説明ではなく、反応を確かめながら進めたか |
| クロージング | 次の一歩に合意する | 導入時期・条件など核心の確認に踏み込めたか/決裁者・決裁プロセスを確認できたか/ネクストアクションを整理し、相手と合意できたか |
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項目の比重には、根拠を持たせる余地があります。国立・私立3大学との共同研究の一環で行った営業実態調査では、ロープレの講評で評価者が重視する着眼点の上位は、聞き取りの深さや聴き漏れのなさといったヒアリング関連の項目でした。迷ったら、ヒアリングのブロックを厚めに作ることをおすすめします。
運用のコツ — シートは「使い方」で決まる
シートができたら、運用のルールを3つだけ決めておきます。
- 記入は◯△×とひとことコメントで十分。5段階評価の刻みに悩む時間はもったいないです。判断に迷う項目は、書き方が曖昧なサインでもあります
- 講評は良かった点から。直す点は1つに絞る。シートで多くの改善点が見えても、全部は伝えません。次回までの宿題をひとつ決めるのが講評のゴールです
- シート自体を見直す。使っていて機能しない項目は消し、実商談でよく問題になる場面は項目に足す。作りっぱなしのシートは、数か月で形骸化します
手書きのシートには限界もある — AIロープレという分岐点
ここまで対人ロープレでのシート運用を前提に書いてきました。ただ、紙やスプレッドシートでの運用には、工夫では越えにくい限界もあります。
- 記入結果が個人のファイルに散らばり、組織として集計・比較できない
- 同じシートを使っても、評価者ごとの目線の高さの差は残る
- 記録と講評に評価者の時間がかかり、開催回数の上限になる
シートの設計がそのまま評価基準になる、という構造は変わりません。変わってきたのは、その基準で採点する役を人が担うか、AIに任せるかという選択肢です。AIが採点するロープレについては、営業ロープレAIの記事で詳しく解説しています。
シートのデジタル化を進めたサービスの一例が exaBase ロープレで、評価項目ごとのスコアや改善アクションを自動で出力し、「なぜこの点数か」が分かる評価を打ち出しています(2026年7月時点の公式サイトより)。チェック項目を自社で設計していく方向のサービスに対し、チェック項目の体系そのものを最初から備えている方向のサービスもあります。
Brain Plus for Sales の場合 — チェックシートの考え方を70項目に体系化
Brain Plus for Sales の採点基準「5ステップ70スキル」は、この記事で述べてきたチェックシートの考え方——営業プロセスに沿って、行動レベルで評価する——を、2,000名以上のトップセールスモデルの営業行動・トークの分析から70のスキル項目に体系化し、AIによる採点に実装したものです。
AI相手の練習だけでなく、上司・同僚との対人ロープレをAIが同じ基準で採点する機能もあるため、「シートの記入係」を置かずに、講評のバラつきと記録の手間を減らせます。評価項目は自社独自の基準に変更することも可能なので、自社で作ったチェックシートの観点を基準として持ち込む使い方もできます。
一方で、シートに何を載せるか——自社にとって何が良い商談かを決める仕事は、道具側では代われません。70項目の体系はあくまで出発点なので、自社の商材やお客様に合わせて見る項目を選び直す作業は残ります。
まとめ
営業ロープレのチェックシートで大事なのは、立派な様式ではなく、次の3つでした。
- 営業プロセスに沿って、行動レベルの項目で作る
- 1回のロープレで見る項目を絞る
- 使いながら項目を見直し、形骸化させない
まずはこの記事の項目例を叩き台に、自社の商談の言葉に置き換えるところから始めてみてください。シートの項目を議論すること自体が、「良い商談とは何か」を組織の言葉にする第一歩になります。
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参考URL
- exaBase ロープレ
https://exawizards.com/exabase/roleplay/
Brain Plus for Sales
「採点の基準」から作られた商談シミュレーターを、実際の画面でご確認いただけます。