営業ロープレのオンライン・リモート実施|消えたのは移動時間で、相手役と評価者の時間ではない
営業ロープレをオンラインにすると移動時間は消えますが、相手役と評価者の時間は消えません。テレワークや遠隔地、時間帯の違うメンバーを同じ基準で巻き込めるかを軸に、対面・Web会議・録画のAI評価・AIロープレの4方式を比べました。

東京本社の課長がお客様役と講評を受け持ち、大阪と福岡の支店から新人がWeb会議でつなぐ。テレワークが定着して、自宅から参加するメンバーもいる。拠点が分かれている営業組織が営業ロープレをオンラインに切り替えると、最初の数回はうまく回ります。移動がなくなった分、以前より開きやすくなった実感もあるはずです。
ところが数か月すると、お客様役を務める課長の予定が合わず、開催は月1回に戻ります。直行直帰の多い外勤は夕方の枠に入れず、時短勤務のメンバーは一度も参加していない。拠点をまたいで同じ練習ができるはずだったのに、画面に並ぶ顔ぶれはいつも同じ。こういう状態になっている組織は少なくないと思います。
原因を「オンラインだと盛り上がらないから」に求めると、対面に戻すか、やめるかの二択になります。ですが、つまずいているのはそこではありません。オンライン化で消えたのは移動時間であって、相手役と評価者の時間ではありません。 場所の壁がなくなっても、相手役の予定を押さえる、評価者が同席して講評する、という時間の制約と、誰が見ても同じ基準で評価するという制約は、そのまま残ります。
この記事では、営業ロープレをオンライン・リモートで行うときに残る「時間」と「基準」の2つの制約を軸に、4つの方式を比べます。比べるのは、対面、Web会議、Web会議の録画をAIが評価する方式、AIロープレです。そのうえで、遠隔地や時間帯の違うメンバーを同じ練習に巻き込むための確認ポイントと、続けるための運用のコツを整理します。
オンラインロープレとは — 「場所」を外した開催形態
オンラインロープレとは、Web会議システムなどを使い、離れた場所にいる営業役・お客様役・評価者が行う営業ロープレのことです。Brain Plus for Sales の製品資料では、営業ロープレの種類を運用方法別・開催形態別・使用ツール別に分類していて、使用ツール別のひとつに「オンラインロープレ」を置いています。想定されている場面は、テレワーク/リモートワーク、少人数、遠隔地の組織です。全国に拠点が散らばっていて、ひとつの拠点に営業が2〜3名しかいない組織では、対面で集まること自体が難しい。オンラインは、そうした組織がロープレを開くための現実的な選択肢になります。
国立・私立3大学との共同研究の一環で実施した営業実態調査でも、ロープレを実施している企業のうち、遠隔地同士でウェブ会議システム等を利用して実施している企業が少なくないことが分かっています。オンラインでのロープレは、すでに珍しいやり方ではありません。
ロープレそのものの進め方(準備・実施・講評・振り返りの型)は営業ロープレのやり方で扱っているので、この記事では「オンラインにしたときに何が残るか」に絞ります。
場所の壁は消えた。残ったのは「時間」と「基準」
営業ロープレAIの記事では、対人ロープレの壁を時間・心理・基準の3つに分けました。オンライン化が崩したのは、この3つのどれでもなく、4つ目の「場所」の壁です。移動せずに済む、拠点をまたいで参加できる、会議室を押さえなくてよい。消えたのはこの部分だけで、残りの壁は形を変えて残ります。
相手役と評価者の時間。 Web会議でも、お客様役を演じる先輩と、講評する上司は、同じ時間に画面の前にいなければなりません。移動の時間はなくなっても、ロープレ本体と講評の時間は消えない。しかも相手役は、1回のロープレで1人の練習にしか付き合えません。オンライン化がなくしたのは距離であって、予定ではないのです。
遠隔地・時間帯の違う人の参加。 オンラインで拠点をまたげるようになった結果、別の問題が見えてきます。本社の定時に合わせた枠には、直行直帰の外勤や時短勤務のメンバー、時差のある海外拠点のメンバーは入れません。「参加できるようになった」のは、同じ時間帯に予定を空けられる人に限られます。
基準。 正直に言うと、Web会議にした途端に評価者が1人になる組織は多いと思います。対面なら評価者を2〜3人置けた組織でも、画面越しでは「課長が1人でお客様役と講評を兼ねる」形になりがちです。評価者が1人なら、その人の観点と記憶に講評が依存します。拠点ごとに講評する上司が違えば、大阪と福岡で言われることが違う、という状態にもなります。評価者による講評のばらつきをどう直すかは営業ロープレの録画フィードバックで扱っているので、この記事では「離れた場所にいる全員を、同じ基準で見られるか」という一点だけを見ます。
確認したい5つのポイント
オンラインで営業ロープレを回す仕組みを検討するとき、次の5点を自組織の運用か、ツールのデモで確かめてみてください。
- 相手役を誰が務めるか(自組織の運用で確認。人が務めるなら、相手役の予定を押さえる工程が残ります。AIが務めるなら、お客様役だけが知っている裏設定を持たせられるかをデモで見ます)
- 評価者が同席しなくても、評価が残るか(デモで確認。録画・録音した対人ロープレを後から採点できるか。講評は同席が前提か、採点結果を見て後から短く返せる形か)
- 遠隔地・時間帯の違うメンバーが、同じ基準で練習できるか(公式サイトまたはデモで確認。各自の都合のよい時間に練習でき、かつ評価基準が拠点や練習日によって変わらないか)
- 記録が本人ごとに残り、離れた拠点の上司が後から見られるか(デモで確認。採点結果と発言の記録がその場限りで終わらず蓄積され、管理者が実施状況と推移を追えるか)
- オンラインで練習したことを、本番の商談で振り返れるか(デモで確認。実商談の録音を採点する機能があるか。練習と本番を同じ基準で見られるかは、実際の出力で確かめます)
1と2が「時間」、3と4が「基準と記録」の確認です。5は、練習をオンラインに移したあとで「本番とのつながりが見えない」とならないための確認です。
4つの方式を「時間」と「基準」で比べる
対面ロープレ、Web会議で人が評価するロープレ、Web会議の録画をAIが評価する方式、AIが相手役を務めるAIロープレの4つを、上の5点に対応する列で並べました。どれかひとつを選ぶ表というより、自社のロープレがいまどの行にいて、どの列で詰まっているかを見るための表です。各セルは方式ごとの一般的な特徴を整理したもので、特定のサービスの仕様ではありません。各サービスがどの行をどこまで受け持つかは、デモで個別に確認してください。
| 方式 | 相手役の確保 | 評価者の時間 | 遠隔地・時間帯の違う人の参加 | 基準の揃い方 | 記録の残り方 |
|---|---|---|---|---|---|
| 対面ロープレ | 上司・先輩の予定と移動の両方が要る | その場に同席。講評はその場で終わることが多い | 同じ拠点・同じ時間に集まれる人に限られる | 評価者ごとに揺れやすい。チェックシートで観点は揃う | 評価者のメモと記憶。録画すれば映像は残る |
| Web会議ロープレ(人が評価) | 移動は不要。相手役の予定調整は残る | 同席が要る。録画を後日見る場合は、その視聴時間が別に要る | 拠点をまたいで参加できる。ただし同じ時間帯に集まる必要がある | 評価者が1人になりやすく、揺れは残る。拠点ごとに講評者が違うと差が出る | 録画は残しやすい。採点が残るかはシートの運用次第 |
| Web会議ロープレ+録画のAI評価 | 相手役は人。予定調整は残る | 同席は不要。一次評価はAI、人は講評に集中できる | 参加の条件はWeb会議と同じ。評価だけが時間に縛られない | 全員を同じ基準で一次採点。人の講評はその上に乗る | 採点結果と発言の記録が本人ごとに残る |
| AIロープレ | 相手役はAI。予定調整が要らない | 同席は不要。採点は自動 | 場所も時間帯も問わず、各自の都合で練習できる | 練習ごとの基準は一定。基準の中身はサービスで差がある | 自動でログと点数が残る |
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左の2列が「時間」、右の2列が「基準と記録」の列です。上から下へ行くほど、時間の制約は軽くなります。一方で、下の2行はそれぞれ別のものを手放しています。「Web会議+AI評価」は相手役を人に残す代わりに予定調整が残り、「AIロープレ」は予定調整をなくす代わりに、人と人が同じ場で目線を合わせる機会を別に用意する必要があります。
方式を決める問いは2つです。相手役を人に残すか、AIに移すか。評価者を同席させるか、後から見られる形にするか。この2つの答えで、行はほぼ決まります。AIロープレを比べるときの「顧客役・お手本役・評価役」という見方は商談ロープレAIの選び方で、評価基準の中身をどう見るかはAIロープレの採点は信頼できるかで整理しています。
各サービスは「時間と場所」をどう扱っているか
AIロープレのサービスの多くは、表の最下行、つまり相手役と評価者の両方をAIに移す方向で設計されています。PeopleX AIロープレは、公式サイトで「24時間365日、どこでもできる 実践的なロープレ」を特長のひとつに掲げています。「時間や場所を問わず、いつでも実践的なロープレが可能」とし、個人のペースで繰り返し演習できることと、先輩や上司の方の工数削減を同時に狙う設計だと説明しています(2026年10月時点の公式サイトより)。相手役の予定調整をなくし、各自の時間帯で練習量を積む方向です。対象は営業に限らず、公式サイトの紹介文では「営業・接客・管理職など、いつでも1人で反復トレーニングができる」サービスとしています。
一方、表の3行目、人同士のWeb会議ロープレをAIが評価する方式への対応は、サービスごとに設計が分かれます。「人同士でオンラインで行ったロープレも採点できますか」「その採点は、AI相手の練習と同じ基準ですか」の2つを、デモで聞いて確かめるのが確実です。
Brain Plus for Sales はどの行を受け持つか
Brain Plus for Sales は、表の下2行、つまり「Web会議ロープレ+録画のAI評価」と「AIロープレ」の両方を同じ評価基準で受け持つ方向の、営業特化のAI商談シミュレーターです。製品資料でも、目的や社内風土に合わせて「リアル×オンライン」「人×AI」を使い分けることを前提にしています。
相手役の時間。 顧客役AIは設定されたプロフィールに基づいて話し、営業担当者からは見えないが顧客役AIだけが知っている内容も設定できます。練習は24時間365日できるので、直行直帰の外勤も、時短勤務のメンバーも、本社の枠を待たずに各自の時間帯で練習できます。製品資料はこの機能を、上司や先輩の時間を奪う「罪悪感」からの解放、と説明しています。
評価者の時間と基準。 上司や同僚との対人ロープレも、対面・オンラインを問わずAIが採点するので、拠点が違っても組織内で評価基準を揃えられます。基準は、2,000名以上のトップセールスモデルの営業行動・トークを体系化した「5ステップ70スキル」で、企業独自の評価基準への変更も可能です。拠点ごとに講評する上司が違っても、一次採点の基準は同じになります。
記録と、離れた上司の目。 離れた拠点の上司は、管理者向けダッシュボードで、メンバーごとのロープレの実施状況や録音データ、採点ランキング、成長推移を後から確認できます。さらに、実商談を録音して採点・フィードバックを受けることにも対応していて、製品資料では「上司が同席をしなくても」実商談で採点・フィードバックを受けられる、と説明しています。練習の場でも本番でも、上司が画面の前にいなくても評価が残る、という形です。
受け持てないものもあります。評価の対象は商談の会話内容で、画面越しの表情や姿勢、カメラ映りといった映像面までは評価しません。人同士のロープレをどう記録して取り込むかは、自社の会議環境に合わせてデモで確認してください。そして、対人ロープレが持つ「お客様役をやって気づく」「何が良い商談かを全員で合意する」という価値は、AI相手の練習では置き換わりません。オンライン化で浮いた移動時間と、AIに移した相手役の時間を、人が集まる場に回す。そういう分担で使うのが現実的です。評価基準そのものを自社の言葉で決める仕事も、道具の外に残ります。
オンラインで続けるための運用のコツ
方式を決めたあと、続くかどうかは運用で決まります。4つだけ挙げます。
- 相手役と評価者を分ける。Web会議では課長が両方を兼ねがちですが、兼ねると講評が薄くなります。評価者を同席させられないなら、録画・録音を前提にして、後から採点と講評を返す形にします
- 拠点をまたぐ枠と、各自の反復を分ける。全拠点が集まる枠は月1回でも構いません。その枠は講評と「何が良い商談か」の議論に使い、反復はAI相手や少人数の枠に移します。製品資料にも「月1回、週一回の形式的な場から、毎日15分」という言葉があります
- 評価基準を先に配る。画面越しの講評は短くなりがちです。項目の言葉で返せるように、基準を全拠点に配ってから始めます。項目例と作り方は営業ロープレのチェックシートにまとめています
- 記録を本人ごとに残し、離れた上司が後から見る運用にする。その場で講評できなくても、翌日に採点結果を見て一言返す。これだけで「画面に並ぶ顔ぶれがいつも同じ」状態から抜け出しやすくなります
まとめ
営業ロープレのオンライン化は、場所の壁を取り払います。ただし、相手役と評価者の時間、そして評価の基準は、オンラインにしただけでは変わりません。
- 消えたのは移動時間。相手役と評価者の時間は消えていない
- 遠隔地・時間帯の違うメンバーの参加は、「同じ時間に集まれるか」ではなく「各自の時間に同じ基準で練習できるか」で決まる
- 方式を決める問いは2つ。相手役を人に残すかAIに移すか、評価者を同席させるか後から見られる形にするか
オンライン化がなくしたのは距離であって、予定ではありません。次に拠点をまたぐロープレを開くときは、Web会議のURLを送る前に、「相手役と評価者の時間をどこから持ってくるか」を決めるところから始めてみてください。
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- 評価者による講評のばらつきを「見る側」で直す: 営業ロープレの録画フィードバック
- 対人ロープレの3つの壁とAIの守備範囲: 営業ロープレはAIでどう変わるか
- 顧客役・お手本役・評価役の見方: 商談ロープレAIの選び方
- 評価基準の中身を見る: AIロープレの採点は信頼できるか
- 講評に使う評価項目の例: 営業ロープレのチェックシート
- 一人で練習を始める無料の手段: AIロープレは無料でできる?
参考URL
- PeopleX AIロープレ
https://peoplex.jp/ai-roleplay/
Brain Plus for Sales
「採点の基準」から作られた商談シミュレーターを、実際の画面でご確認いただけます。